
石垣島の自然が生んださとうきび産業
名称 | 石垣島製糖株式会社 | |
沿革 |
昭和36年 9月 |
沖縄県石垣市字名蔵243番地に石垣島製糖株式会社の名称で設立し、資本金1,525万円(5万ドル)で発足する。糖業振興に基づき小型24工場を買収し黒糖を生産販売した。 |
昭和37年 2月 | 1日あたり原料処理能力(500トン)の分蜜糖工場とするため、13,725万円(45万ドル)の増資を行う。 | |
昭和42年 6月 | 琉球政府の糖業合理化対策により八重山製糖株式会社を吸収合併した。 | |
昭和47年 6月 | 逐次設備を増強し公称能力を850トンと査定された。 | |
昭和49年 8月 | 原料減産により大浜工場(500トン)は沖縄糖業振興協会の甘蔗糖合理化計画に基づき売却処分した。 | |
昭和57年 9月 | 原料増産に伴い連続分離機設備増強、公称能力899トンとする。 | |
平成 5年12月 | さとうきび品質取引に備えてコアサンプラー及び作業室を新設した。 | |
平成15年10月 | 農林水産省の甘しゃ糖製造合理化対策事業計画に基づき、ボイラー・発電タービン設備・圧搾機増設・自動分離機を設備更新し、公称能力1,000トンとする。 | |
平成17年10月 | 農林水産省の甘しゃ糖製造合理化対策事業計画に基づき、清浄設備・濃縮設備を更新した。 | |
平成21年 3月 | 分みつ糖製造合理化対策事業の承認を受けて環境対策に資することを目的に、排水処理施設を建設し地域環境の保全に努める。 | |
資本金 | 2億6,230万円 | |
大株主 | DM三井製糖株式会社 |
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販売先 | 粗糖:DM三井製糖株式会社 糖蜜:DM三井製糖株式会社 |


原料糖の船積みのようす
当社は、分蜜糖・糖蜜の製造、販売を主たる事業としており、当社の事業内容及び関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
地域内農家の栽培した原料甘蔗を購入し、当社にて、製造後主製品の分蜜糖は、大日本明治製糖株式会社に販売し、その他の販売量に見合った交付金を独立行政法人農畜産業振興機構から受けています。また、副産物の糖蜜も主に、大日本明治製糖株式会社に販売しております。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。



【業績等の概況】
石垣島における当期のさとうきび収穫面積は、前期より170ha増え1,506haとなり、特に株出が829haと大幅に増加しました。
生育概況は全生育期間を通して少雨傾向でありました。特に梅雨入り後の5月降水量は平年比58%となり、当該期間において青葉のロール現象が散見されるようになりましたが、5月下旬より局所的なスコールがあり、かつ少雨対策としてセーフティネット事業を活用し散水車によるかん水を6月~8月まで実施したことにより大きな干ばつ被害はありませんでした。また、台風は2個接近しましたが葉片裂傷による軽度な被害にとどまり、順調な生育によって平年を上回る単収となり、買入甘しゃ量は99,530tとなりました。
甘しゃ品質は、青葉の枚数が多く順調に登熟が進み、12月には買入甘蔗糖度14.0度となり更なる糖度の上昇が期待されましたが、1月~2月の降雨及び日照不足により登熟が抑制され、また5月以降は記録的な月間降水量や日照不足もあり著しく品質の低下がみられ最終甘しゃ取引糖度は14.12度となりました。
収穫形態は、ハーベスター原料が89.6%となり過去最高となりました。
機械刈取原料 89.6%(前期85.7%)
無脱葉刈取原料 8.9%(前期12.4%)
手刈刈取原料 1.5%(前期 1.8%)
工場運転は、12月期は19,742tを圧搾処理しており、順調なペースで年内の工場運転は進んでいましたが、1月になると雨天が続き収穫作業が滞るようになり、1月期圧搾処理量は15,114t、2月期圧搾処理量は9,467tと工場運転計画に遅れが生じるようになりました。
その後は天候が回復し、圧搾処理量は3月期20,961t、4月期20,206tと改善したのですが、梅雨入り後の5月には平年の3倍の降水量を記録し、連日ハーベスターが稼働できず、安定的な工場運転に支障をきたしました。5月14日以降から圃場にぬかるみが残る中においてもハーベスター刈取を進めるためにハーベスター利用料金(4,200円/t)を当社が負担する生産者支援を講じました。また関係機関と連携しながら社員を動員して手刈り収穫等を行う対策を講じましたが、5月期の圧搾処理量は、6,875tに留まり、6月まで製糖を続ける事態となりました。
梅雨明けとなった6月20日ごろまで雨天は続き、また買入甘しゃ量が当初の見込みを8,000t近く上回って99,530tと増加したことも重なって原料搬入終了は6月23日、工場運転終了は24日となりました。
製糖が長期化し収穫の適期を超えたことで買入甘しゃ量の品質は低下し、甘しゃ取引糖度は12月から4月の平均14.35度から5月以降の平均12.68度へ12%低下、圧搾工程の甘蔗糖度は12月から4月の平均11.88度から5月以降の平均8.95度へ25%低下しました。
この影響により粗糖歩留は11.04度と過去10年での平均11.52度を4%下回りましたが、10万t近い買入甘しゃ量により粗糖生産量は10,991tと、過去10年平均9,012tを22%上回ることが出来ました。
長期間に渡る製糖において、新型コロナウイルスによる影響はありましたが、幸いにも無事故・無災害で製糖を終了いたしました。
職場環境の整備は、社内におけるハラスメントの防止対策として、これまで役職員へ周知及び啓発を実施しておりましたが、2022年4月1日から中小企業に対するハラスメント防止措置の義務化に伴い、ハラスメント防止対策の強化として役職員に研修を実施しました。コンプライアンスの一環として役職員一同、ハラスメントに対する正しい認識を持ち、ハラスメントが発生しない職場環境の整備に努めてまいります。
販売面については、粗糖は大日本明治製糖株式会社の協力により全量販売することができました。
損益面については、前期に比べ粗糖の販売量と販売単価が増加したことにより売上高は増加しました。しかし、買入甘しゃ量の増加と製糖期間の長期化による労務費の増加に加え、前述の生産者支援費用負担の増加により、変動費及び固定費が増加しました。その結果、売上高1,877百万円(前期1,710百万円)、売上原価1,579百万円(前期1,335百万円)、経常利益49百万円(前期151百万円)、当期純利益28百万円(前期145百万円)となりました。
これも偏に株主の皆様をはじめ多くの関係者方々のご支援、ご協力の賜物であり、深く感謝申し上げます。